2009年11月15日日曜日

IDEO Human-Centered Design ToolKitを読んで

宮村周志です。
IDEO Human-Centered Design ToolKitを読んでの要約と感想を記載致します。

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Human-Centerd Design(HCD)とは、社会に対して様々な新しいソリューションを生み出すためのプロセスおよび一連のテクニックの事だと定義されている。「Human-Centerd」という言葉は、人間(ソリューションを提供する相手)中心の発想や思考から始めるという事の重要性を意味しているが、人間中心の発想が重要な理由は、まさに人々こそが何が最も良いソリューションなのかを知っている「専門家」であるからだ(They are the ones who best what the right solutions are)。

人間中心に考える際には、Desirability・Feasibility・Viabilityという3つの視点が重要だ。具体的には、「人々が望んでいる事は何か」「何が技術的・組織的に実現可能なのか」「資金的に何が実現可能か」を理解する事を通して、最終的なソリューションのDesirability・Feasibility・Viabilityを検討していく必要性がある。そのためには、人々のニーズを聞き(Hear)、そのニーズを応える革新的なソリューションを作り(Create)、そのソリューションを資金的にも持続可能な形で遂行する(Deliver)するというHCDプロセスを実践する必要があると述べられている。

また、個人的に大変興味深かったのは、イノベーションを促進する環境をつくるためのルール(a few rules for creating an environment to facilitate innovation)の部分だ。具体的には、
・MULTI-DISCIPLINARY TEAMS
・DEDICATED SPACES
・FINITE TIMEFRAMES
という3つのルールである。

MULTI-DISCIPLINARY TEAMS:敢えて様々な専門領域の人々を集める事によって、複雑で解決が困難な問題であったり、既に解決が試みられている問題に対して、様々な異なる視点から捉える事ができ、思ってもみなかったような素晴らしいソリューションを生み出す事に繋がる。

DEDICATED SPACES:現場からのインスピレーションを得る事ができ、ブレインストーミングに没頭でき、プロジェクトの進捗を常に把握できるような、プロジェクトごとのスペースを持つ事が重要である。

FINITE TIMEFRAMES:デッドラインや具体的なタイムラインを設ける事で、チームのモチベーションが向上し、課題に対する集中が高まる。

Human-Centerd Design ToolKitを読んで、全体を通して感じたのは、デザイン思考を考える上で重要なポイントは、フィールドワーク・プロトタイピング・コラボレーションの大きく3つではないかという事です。現場でのフィールドワークによって、現場の人たちの間で起こっている事柄を経験し、実際に経験したことを解釈する通りに直接的に扱うことで人々のニーズに関わる質的なデータを獲得する。素早いプロトタイピングを何度も重ねる事で、単なるデータから手で触れる具体的な形へ反映させていく。また、文中でも指摘されているように、様々な領域の人々とのコラボレーションが最終的な成果物の出来を左右する要因になるという事です。
「Building to Think」という言葉が文中に何度か出てきましたが、「グループ活動の中で作ること自体によって考えていく」、という事がデザイン思考の重要なポイントの一つである気がしました。

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