デザイン思考の道具箱
要約
創造のプロセス
社会的背景や哲学的背景を踏まえた上でのモノづくりへの考え方、作り手の問題意識を表す哲学を考えるところから始めて、具体的に何を作りたいかビジョンを決め、それを持ってFWに行き、どのようなものを作るかコンセプト/モデルを作り、機能やインタラクションを検討しながら実際の設計デザインを行い、実証する。次にビジネスモデルを構築して、実際の運営方法を決定する。
[創造のプロセス]
(上流)哲学・ビジョンの設定→技術の棚卸し・FW→コンセプト・モデル→デザイン
(下流)実証→ビジネスモデル→オペレーション (マーケティングの部分)
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手順の詳細
1.哲学とビジョンの設定:
哲学は人間として社会の為に実現したいこと(問題意識=プロジェクトの軸=信念のようなもの)。ビジョンは哲学を実現するための具体的な欲求「~したい」。哲学は社会的背景や作り手の経験からくる、それをもとに社会的意義をもった価値のあるビジョンをリストする。
2.技術の棚卸しとFW:
研究部門から使いたい技術/自慢したい技術、またはそこから生まれたアイデアのリストを作成し、「~したい」という、問題意識から発生したビジョンのリストに割り振る。そして自分たちの持っている技術で実現可能なものを見つけ、今ある技術では実現できないニーズを知る。FWでは、人の無意識な行動を見つける。当事者にとっては当たり前と思っている日常行動が、それを初めて見た人にとっては不思議なことが多い。その中で実は不便なこと、また問題に対して潜在的に適応している能力(人)を見つける。
3.コンセプト・モデル:
コンセプトとはアイデアをもとにビジョンを実現する為の具体的な方法とその構造を示したもの。実際には、FWの経験をもとにブレスト(アイデア出し)を
行い。出てきたアイデアを組み合わせ、具体的にどんな技術で実現できるかを検討する。モデルはコンセプトに含まれる仕組みを明確にして立体化し、物理的
に体験できる形にしたもの。(つまりプロトタイプ製作)
4.デザイン:
ここでいうデザインはコンセプトモデルを考えた後、それを実際に使えるものにしていく過程のこと。機能を考えながら必要な要素を集め、構造や仕組みをつくっていく。
5.実証:
デザインしたものを実際に製作して、人に使ってもらい問題点を見つける
6.ビジネスモデル構築:
ここは哲学~コンセプトと平行して考える必要があり、社会的背景や時代の流れを先取りする成長戦略、市場の動きを意識しながら進めていく、そしてこの時点で実際に売れる仕組みを考える。
7.オペレーション:
ビジネスモデルを運営する事業主体を決める。
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感想
棚橋さんがこの本で紹介している、デザイン思考=「創造のプロセス」は
研究部門や営業部門、ビジネスモデルという言葉を使っていて、商品開発よりのデザイン思考だと感じました。
デザインシンキングで大事だと思うのは
理論 ⇔ アイデア
具体 ⇔ 抽象
収束 ⇔ 発散
を行き来することだと思っていて、初めてデザイン思考に触れる人にはこの本は短い文章に多くのことが詰め込まれすぎていてあまりお勧めできません。
ペルソナに関しては、IDEOのような実例がないので、学生が作った「ペルソナのストーリー」を紹介されても少しわかりにくいのですが、ストーリーの書き方や、FWの仕方はとても丁寧にされているので参考になると思います。
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